PostgreSQLでは、関数やプロシージャの作成に使用できる新たなプログラミング言語を追加することが可能です。 これらは手続き言語(PL)と呼ばれています。 手続き言語で関数やトリガか記述されていた場合、データベースサーバにはその関数のソースを理解する能力が組み込まれていません。 代わりに、その処理はその言語を解釈する特別なハンドラに引き渡します。 そのハンドラは解析、構文分析、実行などすべてのことを行うこともできますし、PostgreSQLと存在するプログラミング言語の実装との"橋渡し"ともなり得ます。 ハンドラそのものは特別なC言語関数で、共有オブジェクトにコンパイルされ、要求に応じてロードされます。
新しい手続き言語のハンドラについては第47章にて説明されています。 複数の手続き言語がPostgreSQLの標準配布物に付随しています。ここで例として示すこともできます。
手続き言語は、それらが使用されるデータベースすべてに"インストール"されている必要があります。 しかし、template1データベースにインストールされた手続き言語はその後に作成されたすべてのデータべースで自動的に使用できます。 したがって、データベース管理者はどのデータベースにどの言語を使用するかを決定できますし、デフォルトで使用できる言語も決定できます。
標準配布物で提供される言語に関しては、手動で実行するのではなく、createlangプログラムを使用することができます。 例えば、PL/pgSQLをtemplate1データベースにインストールするには、下記のように実行して下さい。
createlang plpgsql template1
下記の手作業はcreatelangが認識できない独自の言語に対してのみ使用することを推奨します。
手続き言語の手作業によるインストール方法
手続き言語は、次の3段階でデータベースにインストールすることができます。 この作業はデータベースのスーパーユーザで行なう必要があります。 createlangプログラムは、ステップ2とステップ3を自動化します。
その言語ハンドラ用の共有オブジェクトがコンパイルされ、適切なライブラリディレクトリにインストールされている必要があります。 これは、通常のユーザ定義のC関数を作成してインストールする時と同じです。 項33.7.6を参照して下さい。
ハンドラは下記のコマンドで定義されなければなりません。
CREATE FUNCTION handler_function_name() RETURNS language_handler AS 'path-to-shared-object' LANGUAGE C;
language_handlerという特別な戻り値の型は、この関数が定義済みのSQLデータ型を返さず、SQL文では直接使用できないことをデータベースに伝えます。
PLは下記のコマンドで宣言されなければいけません。
CREATE [TRUSTED] [PROCEDURAL] LANGUAGE language-name HANDLER handler_function_name;
TRUSTEDというオプションキーワードは、スーパーユーザ権限を持たない一般ユーザがこの言語を使って関数やトリガプロシージャを作成できるかどうかを指定します。 PL関数はデータベースサーバの内部で実行されますので、TRUSTEDフラグはデータベースサーバ内部やファイルシステムへのアクセスを持たない言語のみが使われるべきです。 PL/pgSQLとPL/Tcl、PL/Perl言語は信頼できるものと考えられています。 提供される機能に制限がないように設計されたPL/TclU、PL/PerlU、PL/PythonU言語は、信頼できるとはしないで下さい。
例36-1に、手作業によるインストール手順がPL/pgSQL言語でどのように動作するかを示します。
例 36-1. PL/pgSQL の手作業によるインストール
以下のコマンドは、データベースサーバにPL/pgSQL言語の呼び出しハンドラ関数用の共有ライブラリの存在場所を通知します。
CREATE FUNCTION plpgsql_call_handler() RETURNS language_handler AS '$libdir/plpgsql' LANGUAGE C;
以下のコマンドは、直前に宣言された呼び出しハンドラ関数を、言語属性がplpgsqlである関数やトリガプロシージャ用に呼び出さなければならないことを定義します。
CREATE TRUSTED PROCEDURAL LANGUAGE plpgsql HANDLER plpgsql_call_handler;
デフォルトのPostgreSQLインストレーションでは、PL/pgSQL言語用のハンドラは構築され、"library"ディレクトリにインストールされます。 Tcl/Tkのサポート付きで構築した場合、PL/TclとPL/TclU用のハンドラも構築され同じ場所にインストールされます。 同様に、Perlサポート付きで構築した場合はPL/PerlとPL/PerlUハンドラが、Pythonサポート付きで構築した場合はPL/PythonUが構築され、インストールされます。