インタビューにご協力いただいたのは、
第 3 開発部 手塚武様、
第 3 開発部 新留義博様です。
株式会社カプコン様は、家庭用ゲームソフトの開発・販売を中心に事業を展開されており、近年では携帯電話の普及に伴って携帯電話向けゲーム配信にも力を入れられています。 今回は携帯電話向けゲームサイトから利用されるデータベースに PowerGres Plus HA を採用していただきました。 そこで、PowerGres Plus HA を選択された理由とともに、携帯電話向けゲームサイトにおいてデータベースサーバに求められることについてお話を伺いました。
株式会社カプコン様は、1990 年代後半から家庭用ゲームの人気シリーズを中心に携帯電話向けゲームソフトを開発し、ダウンロードサービスを行っています。
ゲーム配信を開始された当初、携帯電話の通信料が高かったため、携帯電話に一度ダウンロードするとサーバにアクセスせずにプレイするスタンドアロンのゲームがほとんどだったそうです。 また、携帯電話の容量制限も厳しかったため、高画質で複雑なゲームを提供することは困難だったと伺いました。 しかし、高速・大容量のデータ通信を可能とする FOMA の登場とともに、通信料定額サービスが開始され、ユーザは通信料を気にせずにゲームをプレイできるようになりました。
そこで、株式会社カプコン様では、サーバへのアクセスを増加させ、その都度必要なデータを取得するようにすることで、これまでにない高機能で幅の広いゲームを提供できるようになりました。 その第 1 弾としてリリースされもたのが「バイオハザード ザ・ストーリーズ」です。
株式会社カプコン様では、サーバにアクセスが増加するようなコンテンツを提供することによって、これまでよりサーバに負荷がかかることは予想されていました。 しかし、サーバへの頻繁なアクセスによってサーバが停止することやレスポンスが悪化することは死活問題になりかねないため、サーバの安定性・信頼性について懸念されていたそうです。
また、株式会社カプコン様はこれまで商用データベースの共有サービスを利用されていました。 共有サービスとは、データベースのリソースを複数の企業で共有するサービスで、Web ビジネスを比較的低予算で開始できる反面、割り当てられるリソースやインスタンスに制限があります。 そこで、携帯電話向けゲームサイトへのアクセスが増加する傾向にあった株式会社カプコン様としては共有ではないデータベースサーバが必要でした。 しかし、共有サービスで利用していた商用データベースと同じものを用意するためには非常にコストがかかってしまうという問題がありました。
株式会社カプコン様では、携帯電話向けゲーム配信を開始された当初から株式会社アイアイジェイテクノロジー様にインフラ構築を依頼しており、上記の問題を解決するような新しいコンテンツサーバのインフラ構築についても提案を求めました。 その結果、提案されたものが PowerGres Plus HA だったということです。
PowerGres Plus HA を選択された理由を、株式会社アイアイジェイテクノロジー関西支社 営業課 課長 河波眞人様は次のように語られています。 「今回は新しいコンテンツサーバを立ち上げるということで、できるだけコストを抑えつつもサーバの安定性・信頼性を高めることができるソリューションを探していました。 そこで、目に留まったものが PowerGres Plus でした。 PowerGres Plusは PostgreSQL をベースとしながらもより強力なデータベースエンジンを備えているため、頻繁なアクセスにも耐えられると考えました。 また、HA (HighAvailability: 高可用性) 構成を組むことによってダウンタイムを最小限に抑えることもできます。 さらに、ゲームコンテンツのデータは NFS サーバを介して提供されるため、NFS サーバも含めて HA 構成を組めることにも魅力を感じました。 おかげでお客様が求められているソリューションを提案できたと考えています。」
PowerGres Plus HA という提案に対して、株式会社カプコン様は次のような理由から採用することを決断されたそうです。
株式会社カプコン様では実際に PowerGres Plus HA を利用したアプリケーション開発が行われました。 しかし、これまでと異なるデータベースを利用することによって何か問題があったのでないかと考えられます。 しかし、それについては次のようなお話を伺いました。 「これまで利用していた商用データベースは、確かに機能は豊富でしたがそれをすべて利用することはなかったため、アプリケーション開発のエンジニアにとっては複雑なものに感じられました。 それに比べ、PostgreSQL/PowerGres はプリミティブな機能が利用しやすく実装されているため、とくにアプリケーション開発での苦労はありませんでした。」
PowerGres Plus HA が導入されたサーバでの運用は 2004 年 9 月から開始されています。 サーバのリソースに余裕があることもあり、現在 (2004 年 12 月) まで 1 件のトラブルもないと伺っています。 携帯電話向けコンテンツビジネスでは、特定の時間に集中するアクセスにサーバが耐えられるか、ダウンタイムを最小限に抑えられるか、そして、ランニングコストがどれくらいかかるか、ということを初期段階において見極めることが重要であるといいます。 PowerGres Plus HA も採用されるまでに様々な負荷試験が行われましたが、それにすべてパスしたからこそ採用され、現在、実際に運用されているわけです。
株式会社カプコン様では「バイオハザード ザ・ストーリーズ」を皮切りに「ロックマン エグゼ」、「逆転裁判」といった携帯電話向けゲームがリリースされています。 これからも PowerGres Plus HA が導入されたサーバから新しいゲームソフトが続々と配信されていくことになるでしょう。
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