リグレッションテストとは、PostgreSQLのSQL実装についての包括的なテストの集まりです。 リグレッションテストでは、標準SQLの操作に加えてPostgreSQLの拡張SQL機能もテストします。 PostgreSQL 6.1以降、リグレッションテストは公式リリース版に含まれています。
リグレッションテストはすでにインストールされ稼働中のサーバや、ビルドツリー内の一時的なインストレーションに対して実行することができます。 さらに、テストの実行には、"並行"と"連続"モードがあります。 連続モードでは、1つずつテストスクリプトを実行します。 並行モードでは複数のサーバプロセスを実行し、テストをグループ化して並行的に実行します。 並行テストではプロセス間通信とロック機能が正常に作動しているかをテストします。 歴史的理由により、連続テストは存在するインストレーションに対して行われ、並行テストでは一時的なインストレーションに対して行われます。 これらに技術的根拠はありません。
構築後、リグレッションテストをインストールの前に行う場合は、最上位のディレクトリで以下のように入力してください。
gmake check
(または、src/test/regressディレクトリに移動して、そこで実行してください)。 これを実行したら、ユーザ定義のトリガ関数のサンプルなどの複数の補助ファイルがまず作成され、それからテストドライバのスクリプトを実行します。 終了したら、以下のような表示がされるはずです。
====================== All 93 tests passed. ======================
これが表示されなければ、テストは失敗したことになります。 詳細は項26.2を参照してください。
この試験方法では、一時的にサーバを起動させるため、rootユーザでは動作しません (サーバはrootでは起動しません)。 rootで構築作業を行ったとしても、すべてを最初からやり直す必要はありません。 リグレッションテストのディレクトリを他のあるユーザに書き込める権限を与え、そのユーザになり、テストを再実行して下さい。 たとえば、以下のようにします。
root# chmod -R a+w src/test/regress root# chmod -R a+w contrib/spi root# su - joeuser joeuser$ cd top-level build directory joeuser$ gmake check
(この方法には"セキュリティ問題"が1つだけあります。それは、別のユーザがこっそりリグレッションテストの結果を変更することが可能ということです。 常識的なユーザ権限を付与を行なってください。)
また、インストール後にテストを実行することも可能です。
並行リグレッションテストはユーザのユーザ ID を使用して相当数のプロセスを起動します。 現在、最大で 20 個の並行テストスクリプトが同時に実行されます。 その場合各テストスクリプトで、サーバプロセス、psql に加えて、通常は psql の親プロセスとなるシェルが起動されますので、合計 60 個のプロセスが実行されることになります。 ですので、使用するシステムでユーザ当たりのプロセス数に制限を加えている場合は、その上限が少なくとも 75 程度であることを確認して下さい。 さもないと、並行テストで規則性がないように思われる失敗が発生します。 この上限を変更できない場合は、MAX_CONNECTIONSパラメータを編集して、並行度を減らすことができます。 例えば、以下は同次実行数を10以下で実行します。
gmake MAX_CONNECTIONS=10 check
システムによっては、デフォルトのBourne互換シェル(/bin/sh)は多くの子プロセスを並行的に実行すると動作が不安定になることがあります。 これにより並行テストを失敗させるか、フリーズさせてしまう可能性があります。 このような場合、コマンドラインで別のBourne互換シェルを指定してください。 以下に例を示します。
gmake SHELL=/bin/ksh check
壊れていないシェルを使用できないのであれば、上で示したように同次実行数を制限することで回避できます。
インストール(第14章を参照)後にテストを実行するには第16章で説明したように、データ領域を初期化し、サーバを起動させ、そして、以下を入力して下さい。
gmake installcheck
テストは、環境変数のPGHOSTとPGPORTで指定がない限り、ローカルホストのサーバに接続し、デフォルトのポート番号を使用します。