PostgreSQLシステムでは、ユーザ定義関数の一部としてバックエンド側から、もしくは、アプリケーションの一部としてフロントエンド側からのラージオブジェクトへのアクセスに使用されるインタフェースを提供します。 これらは後で説明します。POSTGRES 4.2に慣れているユーザー向けに、PostgreSQLはより理路整然としたインタフェースを提供する新しい関数群を持っています。
Note: すべてのラージオブジェクトの操作は必ずSQLのトランザクション内で行う必要があります。この制約は、PostgreSQL 6.5以前のバージョンでは暗黙の必要条件であり、無視されるため誤動作することになっていましたが、それ以降のバージョンでは厳しく強制されています。
PostgreSQLラージオブジェクトインタフェースは、Unixファイルシステムインタフェースにならって作成され、open(2)、read(2)、write(2)、lseek(2)などと酷似したインタフェースを持っています。 ユーザ関数は、ラージオブジェクトから必要なデータだけを取り出すときにこれらの処理を呼び出します。たとえば、顔写真を格納する mugshot という名前のラージオブジェクト型があり、beard という名前の関数で、mugshot データについて宣言したとします。beard 関数は写真の下 1/3 をみて、もしあれば、そこにあるひげの色を測定するものとします。beard 関数では、ラージオブジェクトの値全体をバッファに取り出すことも、全体を確認することも必要ありません。ラージオブジェクトは、動的に読み込まれるC関数、または、ライブラリとリンクされたデータベースクライアントプログラムのどちらからでもアクセスできます。PostgreSQLは、ラージオブジェクトについて「開く」、「読む」、「書く」、「閉じる」、「シークする」機能を提供しています。
ルーチン
Oid lo_creat(PGconn *conn, int mode)
この処理は、新しいラージオブジェクトを作成します。引数 mode は新しいオブジェクト用の複数の異なる属性を示すビットマスクです。以下で使用する定数シンボルは、libpq/libpq-fs.hで定義されています。アクセスタイプ(読み取り、書き込み、または両方)は、INV_READビット、INV_WRITEビットの論理和で指定できます。マスクの下位16ビットは、これまではラージオブジェクトが属するストレージマネージャの番号を識別するためにバークレイで使用されていました。現在では、常にゼロにしなければなりません。次のコマンドは、ラージオブジェクトを作成します。
inv_oid = lo_creat(INV_READ|INV_WRITE);
オペレーティングシステム上のファイルをラージオブジェクトとしてインポートするには、以下の関数を呼び出します。
Oid lo_import(PGconn *conn, const char *filename)
引数filenameには、ラージオブジェクトとしてインポートするオペレーティングシステム上のファイルのパス名を指定します。
ラージオブジェクトをオペレーティングシステム上のファイルにエクスポートするには、以下の関数を呼び出します。
int lo_export(PGconn *conn, Oid lobjId, const char *filename)
引数lobjIdには、エクスポートしたいラージオブジェクトのOIDを指定し、引数filenameには、オペレーティングシステム上のファイルのパス名を指定します。
既存のラージオブジェクトを開く場合は、以下の関数を呼び出します。
int lo_open(PGconn *conn, Oid lobjId, int mode)
引数lobjIdには開きたいラージオブジェクトのOIDを指定します。引数modeの各ビットは、そのオブジェクトを読み取りのみ(INV_READ)、書き込みのみ(INV_WRITE)、またはその両方できるように開くのかを制御するものです。作成していないラージオブジェクトを開くことはできません。 lo_openは、lo_read、lo_write、lo_lseek、lo_tell、lo_closeで使用するラージオブジェクト記述子を返します。
ルーチン
int lo_write(PGconn *conn, int fd, const char *buf, size_t len)
この処理は、引数 len 長のバイトを、引数 buf から引数 fd が示すラージオブジェクトに書き込みます。引数fdは事前に実行したlo_openの戻り値でなければいけません。実際に書き込まれたバイト数が返されます。エラーが発生した場合は、負の値を返します。
ルーチン
int lo_read(PGconn *conn, int fd, char *buf, size_t len)
は、引数 len 長のバイトを、引数 fd が示すラージオブジェクトから buf に読み込みます。引数fdは事前に実行したlo_openの戻り値でなければいけません。実際に読み込まれたバイト数が返されます。エラーが発生した場合は、負の値を返します。
ラージオブジェクトの現在の読み取り、または、書き込みを行う位置を変更するには、以下の関数を呼び出します。
int lo_lseek(PGconn *conn, int fd, int offset, int whence)
この処理は、引数 fd で指定されたラージオブジェクトの現在の位置を指すポインタを、引数 offset で指定した新しい位置に変更します。引数whenceに指定可能な値は、SEEK_SET、SEEK_CUR、SEEK_ENDのいずれかです。